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コココラム2017.5.24

音楽市場の救世主となるか? アジアで独自市場を確立したアニソンについて、SOZO Pte. Ltd.代表取締役 ショーン・チン氏インタビュー

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シンガポールを拠点とするSOZO Pte. Ltd.と創通が協業し、ポップカルチャーイベント『Anime Festival Asia』(以下、『AFA』)と、キャラクターイベント『C3』を統合し、アジア主要5都市でクールジャパンイベント『C3 AFA』を6月から開催させます。2008年に『AFA』をスタートさせ、東南アジア最大規模のイベントに成長させたSOZO Pte. Ltd.代表取締役、ショーン・チンさんに、アジアで独自市場を確立した日本のアニソン市場の現状と未来を聞ききました。

ショーン・チンさん
SOZO Pte. Ltd.代表取締役

1973年生まれ。2002年に電通シンガポールに入社。デジタル・マーケティング部門で活躍。2008年にはフェスティバル・ディレクターとして『AFA』の立ち上げに参画。東南アジアで最大規模の日本ポップカルチャーイベントにまで成長させた。2009年にはSOZO Pte. Ltd.を設立し、代表取締役に就任(現職)。『AFA』を始めとする興行の主催、企業プロモーション、マーケティングのサポートを行う。2015年11月よりソニー・ミュージックエンタテインメントと資本提携

各国の事情を踏まえた包括的なソリューションまで提案

――『C3 AFA』がアジア5都市で開催されることが発表されました。『C3』と、『Anime Festival Asia(AFA)』を統合した背景について教えていただけますか。


まず我々、SOZOが企画・運営する『AFA』は、2008年より東南アジア各国で開催してきたイベントです。本社のあるシンガポールからスタートしましたが、徐々に周辺各国へと広がり、今や延べ20万人以上を動員する東南アジア最大級の日本ポップカルチャーイベントに成長しました。一方で『C3』は日本の会社である創通さんが主催ですが、香港や北京と東アジア圏での展開を推進され、昨年はシンガポールでの初開催も成功されました。また、昨年はバンコクでの開催も予定されていたのですが、タイ国王がお亡くなりになったため、延期になっていたんです。

――いずれにしても『C3』としては東南アジア進出を狙っていたと。

そのように聞いています。とはいえ、タイにはすでに日本関係のイベントが複数あったため、新規で乗り込んでもなかなか集客に苦労したかもしれません。その点、『AFA』はバンコクで2回の開催実績があります。実はこのたびの協業も、当初はバンコクで『C3』と『AFA』のコラボイベントを開催したいというアイデアから始まったものでした。一方で、我々も東アジアマーケットへの進出を検討していたので、創通さんとの協業は願ってもない話で、だったらバンコクに限らず、アジア全域における最強のクールジャパンイベントブランドを目指しましょう、と。そして、日本の企業様が安心して気軽に出展できる唯一最大のプラットフォームを一緒に作っていきましょう、と話がまとまりました。

――では、各開催都市の特徴を教えていただけますか。

まず、シンガポールと香港は周辺各国のハブとして、アジア展開をする上で重要な拠点です。要はインドネシアやマレーシアの若者はシンガポールで流行っているもの、中国の若者は香港で流行っているものが一番イケてる、というふうに捉えるんですね。ただ、地理的にも香港のほうがシンガポールに比べて日本文化の影響が色濃いと思いますね。『AFA』以前には、シンガポールでクールジャパン系のイベントはなかったですから。

――つまり貴社がマーケットを切り拓いたわけですね。

そのように自負しています。また、シンガポールやマレーシアは英語が公用語ということもあって、欧米のカルチャーとも親和性が高いんです。ちなみに我々はマレーシアのペナン州政府から依頼を受けたイベント「ペナンアニメ祭り」も企画運営をしていますが、以前、州政府ではEDM 系のイベントをバックアップしていたんです。ところがEDM はお酒が付き物。マレーシアはイスラム教徒が多いため、地元からの批判も非常に多かったんです。そこでアニメイベントに変えたところ、若者もたくさん集まる上に、内容も健全になったと喜ばれています。

――今年、『C3 AFA』が開催されるインドネシアもイスラム教徒が多いですが、日本カルチャーは宗教的にも問題なく受け入れられていると。

ええ。また、インドネシアは若者人口が多い。『AFA』のメインターゲットは12~25歳ですが、これまで開催してきた感触では他の国に比べて来場者の平均年齢が3歳ほど若い印象です。それからインドネシアの来場者は開場したとたん、一気になだれ込んきます。おそらく『AFA』のほかにクールジャパン系イベントがないため、渇望感があるんですね。購買意欲が非常に高いのも特徴の1つです。

――バンコクはいかがでしょうか。

先ほどお話ししたように、日本関連イベントがたくさんありますが、ポップカルチャーに特化したイベントは『C3 AFA』だけ。日本のアニメ等は大人気なので、非常に有力なマーケットです。ただ、他の開催国に比べて英語の理解度が低いため、タイ語でコミュニケーションできないとビジネスをするのが難しいでしょう。その点、当社はバンコクにもオフィスがあり、タイ人のスタッフもいるため、問題ありません。

――日本の企業としては、『C3 AFA』をどのように活用できそうですか?

簡単に言えば、『C3 AFA』は日本のポップカルチャーのコンビニみたいな場になりたいと考えています。つまり、ここに出展すれば効率的かつ快適にアジア各国の市場を開拓・拡大できるということですね。例えば過去には、物販の商品を日本から輸送するにあたって税関トラブルがあり、開催初日に荷物が届かなかったこともありました。そこで現在では単にイベントとして場所を貸すだけでなく、各国の事情を踏まえた包括的なソリューションまでご提案させていただいています。

――一口にアジアと言っても、各国で事情が異なるわけですね。

アジアを攻略したいと考えても、一国一国の市場調査をして乗り込むのは大変ですが、我々にご相談いただければワンストップでのご提案ができます。当社はシンガポール、ジャカルタ、バンコクにオフィスがあり、アジア各国のスタッフを揃えています。もちろん日本人スタッフもいます。クライアントである日本企業とは日本語ベースで対話ができ、現地での交渉やイベントの実行は、各国のスタッフが取り仕切ることができるのが当社の強みです。

音楽プロモーション媒体の機能も果たすアニメ主題歌

――東南アジアにおける日本のポップカルチャーの機運はいかがですか。

例えば、台湾はアニメをはじめとした日本のポップカルチャーのコアファンがたくさんいる、すでに成熟したマーケットです。一方で東南アジアにはライトユーザーがまだまだ多い。『C3 AFA』が狙うのはまさにその層で、だからこそ先ほど言ったように、気軽に入れるコンビニ的な場にしたいんですね。そしてそこで日本のポップカルチャーに触れていただき、最終的には訪日をしたり、グッズをたくさん買ったりといったコアなファンを育てるのが『C3 AFA』の目的です。

――SOZO では日本人アーティストの招聘も行っていますが、ソロコンサートの事情はいかがでしょうか。

6月にRADWIMPSを招聘しますが、券売の勢いがすごいですね。シンガポールでも大ヒットしたアニメ映画『君の名は。』きっかけでファンになった人も多いでしょう。ちなみに我々は『Anisong Fantasy Live』というライブも主催していますが、アニソンは非常に人気です。

――つまり日本のアーティストを知る上で、アニメがプロモーション媒体になっているということですね。

逆に言えば、それ以外にプロモーション媒体がないんですね。でもやはりアニメは強力ですよ。『AFA』にはアニソンアーティストにたくさん出ていただく「I Love Anisong」というライブパートがあるんですが、かつてアニメ『BLEACH』の主題歌を務めていたことからSCANDALにご出演いただいたんですね。SCANDALはその後、あまりアニソンを担当していませんが、現在でもシンガポールでソロライブをやると盛況です。

――アニメと関わりのないアーティストはいかがですか?

我々の招聘させていただいた例ですと、きゃりーぱみゅぱみゅやBABYMETALはアニメとは別の日本の独自性である、カワイイ、クールという文脈で大人気です。ただその点は東南アジアに限らず、グローバルに共通する傾向かもしれません。我々としてはSCANDALの例のように、まずは『C3 AFA』で気軽にアーティストの世界観に触れていただき、ゆくゆくはソロライブにも足を運ぶ熱狂的なファンに育てるというスキームを取っています。

――では将来的に『C3 AFA』は、どの地域に拡大していく意向ですか?

フィリピンやベトナムはすでに視野に入っていますが、やはり中国は1つのキーワードになるでしょう。その点でも創通さんの存在は非常に心強いですね。そもそも僕自身、『ガンダム』の大ファンで小さい頃から「創通」のクレジットを目にして育ったので、このたびの協業は実に光栄で、『C3 AFA』をぜひとも成功させようとモチベーションもますます高まっているところです。

(文:児玉澄子/写真:西岡義弘)

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