左:藤沢文翁氏 右:SME千葉悦子
■異才とSMEがコラボした新感覚の朗読劇ブランド
音楽朗読劇ブランド「READING HIGH」シリーズは、12月9・10日に第1弾として「Homunculus ~ホムンクルス~」を上演する。同公演の会場は、本年10月にオープンする川崎市スポーツ・文化総合センター。朗読劇としては異例の2000人収容キャパだが、藤沢氏の新たな挑戦への期待とキャストの豪華さからほぼ完売状態だ。

「私のセクションは新規事業の開発がミッションなのですが、弊社は総合エンタテインメント会社としてアニメや映像、ライブ制作など幅広いビジネスを展開しており、会社全体のミッションが良質なコンテンツを世に送り届けることです。もともと音楽ビジネスを中心とした会社でしたが、今は音楽単体で世に送り届けるのが非常に難しい時代で、音楽プラスαの要素を持った新たなコンテンツの開発を構想していたところ、音楽にも非常にこだわられた朗読劇という藤沢さんの世界に出会ったんです」(千葉)
一方の藤沢氏は、東宝とコラボした「クリエ プレミア音楽朗読劇VOICARION」、Production I.Gや東映アニメーションなどとコラボした「Theatrical Live」という2つの音楽朗読劇プロジェクトで活動中だが、さらなる新たな表現を模索していたタイミングだったという。
「これまでも“音楽朗読劇”と謳っているだけに音楽は大切にしてきましたが、音楽を専門とするSMEのサポートでさらに進化した音楽表現に挑戦できそうです。また第1弾公演の『ホムンクルス』は派手なストーリーと演出を想定しているので、これまで以上に特殊効果にもこだわりたい。その点についても常にエンタテインメントを発信してきたSMEのお力添えで、最先端のテクノロジーを駆使できるのが今から楽しみですね」(藤沢氏)
■幅広い二次展開を構想した2日限りのプレミア上演
さて、「ゼロから1を生み出す」ことをテーマとする藤沢氏の作品はほほすべてオリジナル。『ホムンクルス』は中世ヨーロッパを舞台に、錬金術師と人造人間・ホムンクルスが織り成す怪しくも美しいダークファンタジーだ。
キャストには諏訪部順一、梶裕貴、豊永利行、甲斐田ゆき、関智一ら錚々たる人気声優陣が登壇。英国朗読劇を独自に発展させた脚本を持ち味とする藤沢氏だが、日本の声優文化へのリスペクトも深く、これまでも声優を多く起用している。

「僕の台本は従来の日本の朗読劇とは違って、ナレーション等を排除したセリフのみで展開します。ナレーションが入ることで物語の臨場感を止めたくないのが理由で、その代わりに特殊効果で情景や感情の描写をするのが僕の手法です。そしてセリフのみだからこそ、キャストに委ねる部分も大きい。だからこそ声をあてる技術も表現力も、間違いなく世界トップクラスの日本の声優を起用しているんです」(藤沢氏)
これだけの人気声優が揃うだけにチケットの争奪戦は容易に想定できたため、券売も一工夫をした。ちなみにプレミア席は1万8000円と高額だが、ステージからの近さはもちろん、特殊効果もビビッドに体感できるというバリューがある。
「僕自身、学生時代はよくロンドンのロイヤルオペラハウスの一番安い席で観劇していましたが、どの席でも存分に楽しんでいただけるようにするのが演出家としてのスキル。その上で席種ごとの価値を提供するのも、演出家としての面白い挑戦だと思っています」(藤沢氏)
惜しむらくは2日間という短い公演日程だが、これもトップクラスの人気声優を取り揃えるとなると致し方ない部分もあるのだろう。今後はライブビューイングや、映像の二次展開も想定に入れているという。
「加えて、藤沢さんの作品にはオリジナル原作という強みがあります。またアニメやゲームとの相性がいい題材が多い。そうした原作の二次利用も含めて、藤沢さんが生み出した種を、SMEが耕して大きく育てるという良好なパートナーシップを築いていきたいですね」(千葉)
なお、2018年度には「READING HIGH」の第二弾公演も予定されている。こちらも豪華キャストが登場する予定。
大きな期待を集め、新たな船出となった新感覚朗読劇シリーズ「READING HIGH」。その魅力は、第1弾公演から十二分に伝わってくるだろう。これまでに味わったことのない朗読劇を是非、劇場で“体感”してほしい。
*Homunculus 第1弾PV
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『Homunculus~ホムンクルス~』
会場:川崎市スポーツ・文化総合センター
公演日時:2017年12月9日、10日
原作・脚本・演出:藤沢文翁
作曲・音楽監督:村中俊之
制作:Zeppライブ
主催:ソニー・ミュージックエンタテインメント
『Homunculus~ホムンクルス~』オフィシャルサイトはこちら