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ココレポ2017.12.27

ダンスミュージックの国際カンファレンス&イベント「TOKYO DANCE MUSIC EVENT」開催!

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昨年に引き続き、日本初のダンスミュージックに焦点をあてた国際カンファレンス&イベント「TOKYO DANCE MUSIC EVENT(以下、TDME)」が、11月30日から12月2日まで渋谷ヒカリエを中心に開催されました。 今年で2回目となるTDMEは、日本をはじめ世界各国の音楽シーンにおける識者たちが最新のイノベーションについて意見を交わす「CONFERENCE」、楽曲制作の現場に触れることができたりサウンド・インスタレーションを体験することのできる「SESSIONS」、クラブ・シーンを牽引するレーベルやアーティストたちを迎えた「LIVE」というプログラムで構成。今回は渋谷ヒカリエにて行われた「CONFERENCE」「SESSIONS」のイベントレポートを抜粋してお届けするとともに、プロジェクトを牽引したソニー・ミュージックエンタテインメント(以下、SME) コーポレートビジネスマーケティンググループマーケティングオフィス Lauren Rose Kocher / コーカー ローレン ローズさん、ソニー・ミュージックコミュニケーションズ(以下、SMC) マーケティング戦略本部マーケティング戦略オフィス 柳井 功治さんからのコメントをご紹介いたします。


イベントレポート
【1日目】
■TDME実行委員会からの挨拶
<CONFERENCE>日程:11月30日11:00~11:15/会場:MAIN Hikarie Hall A
登壇者:Lauren Rose Kocher(SME コーポレートビジネスマーケティンググループマーケティングオフィス)、カワムラ ユキ(オイランミュージック プロデューサー)


開催の挨拶を行ったのはTDME実行委員会の委員長を務めるLauren Rose Kocherと、イベント全体の進行役を務めたカワムラ ユキ氏。TDMEは、“ダンスミュージック”というキーワードを軸に、さまざまな分野の識者が集い、情報や意見交換を行なうことで、新たなネットワークやビジネスチャンスを育む場所であるという、イベント自体の開催意義や目的についてスピーチしました。

■レポート:日本のデジタル音楽市場の将来(Music Allyより)
<CONFERENCE>日程:11月30日11:15~11:45/会場:MAIN Hikarie Hall A
登壇者:Steve Mayall(Music Ally Managing Director)


音楽とテクノロジーに関する分析やコンサルティングを行っているイギリスのMusic Allyより、日本のデジタル音楽市場の調査結果が報告されました。日本ではストリーミング市場がまだ未成熟ながら、DJ MITSU THE BEATSのSpotifyプレイリスト掲載による海外での認知度の高さなどを例に取り、それらを柔軟に活用することで日本の音楽を広く海外に届けることができる可能性について示唆しました。

■メジャーレーベルから見る:ストリーミング・サービスに対する取り組み・企画
<CONFERENCE>日程:11月30日11:45~12:30/会場:MAIN Hikarie Hall A
登壇者:米田英智(エイベックス・エンタテインメント株式会社 ゼネラルマネージャー)、佐藤宙(ユニバーサル ミュージック合同会社 マーケティング部 兼 デジタル部 部長)、赤林勇太(ソニー・ミュージックレーベルズ ソニー・ミュージックジャパンインターナショナルマーケティング1部デジタルマーケティング課)


各レーベル担当者とも、2017年はストリーミング・サービスの売り上げが伸びてきたことを実感しながらも、邦楽・洋楽が混在する日本の特殊な市場ではまだフィジカルやダウンロードが根強いことを指摘。各プラットフォームと組み、そこでしか聴けないコンテンツを用意するなど、独自の企画でストリーミング・サービスの利便性やお得感をユーザーに提案することが必要という意見でまとまりました。

■次世代エレクトロニック・クリエイターオーディション「INTERLUDE from TDME」一次審査結果発表
<SESSIONS>日程:11月30日13:15~13:45/会場:WORKSHOPS Hikarie Hall B
登壇者:DJ DARUMA(PKCZ® / DJ Producer / Designer(FULL-BK))、高田恭男 / DJ PI-GE(株式会社クラベリア 代表取締役)、佐藤吉春(株式会社エナジー・フラッシュ 代表取締役)


TDMEを通じて新しいクリエイターを発掘する初のオーディション。グランプリ受賞者は作家活動や世界デビューの支援を受けられることもあり、応募は100名超えたとのこと。一次審査結果では、ビッグルーム系のEDMからディープハウス、エレクトロポップまで多種多様な10作品を紹介。日本のダンスミュージックの裾野の広さを感じさせました。なお、最終結果は12月下旬に公式サイトにて発表。

■ブロックチェーン技術は音楽業界にどのような変革をもたらすのか?
<CONFERENCE>日程:11月30日15:00~15:45/会場:TECH Hikarie Hall B
登壇者:小川晃平(株式会社VALU 代表取締役)、柴那典(音楽ジャーナリスト)、増島雅和(森・濱田松本堀津事務所 パートナー弁護士)


帳簿管理できるものならすべてに応用可能というブロックチェーン技術の音楽業界における応用性について議論。増島氏によると、改ざん不可能かつ透明性の高い同技術を用いれば、管理団体などを介さず楽曲権利の管理や印税分配が可能になると提言。個人に価値を付けるVALUのサービスをアーティスト活動のサポートへと転用することなどを含め、今後の発展を予感させるアイデアが多く提案されました。

■AIスピーカーによる消費体験の変化や、コンテンツ提供側の変化
<CONFERENCE>日程:11月30日16:00~16:30/会場:TECH Hikarie Hall B
登壇者:藤野真人(フェアリーデバイセズ株式会社 代表取締役)、舛田淳(LINE株式会社 取締役 CSMO)、榎本幹朗(榎本事務所)


AIスピーカーの現状について舛田氏は、Siriなど音声アプリがスマートフォンを通じて普及した影響の大きさについて指摘。これによりAIスピーカーとの対話に抵抗がなくなり、一般層への普及に繋がったとのこと。また、日本では欧米とは異なり、AIスピーカーにキャラクター性が求められる傾向があり、単なるサポート技術ではなくパートナーとしての進化が新しいビジネスに繋がるとの意見も。

■A2LiVEによる、中国のダンス・ミュージックシーンの現状
<CONFERENCE>日程:11月30日17:45~18:00/会場:MAIN Hikarie Hall A
登壇者:Vlada Didenko(A2LiVE Director, Business Affairs)


A2LiVEは中国最大級のライブエンタテインメント会社。中国の音楽マーケットにおけるダンスミュージック市場の規模拡大について、詳細な数値データと例証を交えながら紹介されました。実際に中国におけるエレクトロニックミュージック系フェスは2016年は32だったのに対し2017年は86に急増、2018年には150以上になるとのこと。5年後には中国は世界一のマーケットサイズになるだろう予測されました。

【2日目】

■Dance Musicとゲームの出会い、そしてVR~Rez Infiniteへ
<CONFERENCE>日程:12月1日11:30~12:00/会場:MAIN Hikarie Hall A
登壇者:水口哲也(Enhance 創業者・CEO)


“共感覚的な体験”という発想のもと、音を使ったさまざまなゲームを開発してきた水口氏がこれまでの活動と成果をスピーチしたこのパネル。「Rez」(2001年)に始まり、その最新作「Rez Infinite」(2016年)ではVR技術によってかつてない没入感の共感覚体験を実現。Ken Ishii氏とのコラボレーションによるドーム投影実験を行うなど、さらに新しい可能性を探る事例も紹介されました。

■ティーン世代に向けた音楽マーケティングとは?
<CONFERENCE>日程:12月1日12:00~12:30/会場:TECH Hikarie Hall B
登壇者:吉田優華子(株式会社ドリコム ディレクター)、高橋真優(アルサーガパートナーズ株式会社 執行役員 UI/UXデザイナー)、鳴田麻未(ライター・編集・企画)


若者のアプリ事情などに精通する20代女性3人が意見を交わしたセッション。現在のティーンは「Tik Tok」などに代表されるショート形式の動画共有サービスを自己表現のツールとして活用しており、例えばそこでは振付をマネして遊べる楽曲はバイラル効果が高いなどと指摘。今後は第5世代移動通信システム(5G)の導入に伴い、動画コミュニケーションのさらなる加速が期待されるとのことでした。

■Production Workshop from Spinnin’ Records Artist Mike Williams
<SESSIONS>日程:12月1日13:00~14:00/会場:WORKSHOPS Hikarie Hall B
登壇者:Mike Williams(Spinnin’ Records DJ / Producer)


世界的な人気を誇るダンスミュージックレーベルのSpinnin'と18歳で契約したオランダの人気DJが最新曲「Melody (Tip Of My Tongue)」の制作過程を紹介。本人が実際に使用しているソフト「Logic Pro X」を用いて、サビのメロディー部分におけるレイヤーを重ねる手法や、ドロップにおけるベースラインやキックの組み立て方などを説明。観覧していたクリエイターたちも刺激を受けていたよう。

■ブロックチェーンが支える音楽の所有権とデジタル化が進むメディアの未来。dotBlockchain MediaのBenji Rogersによるプレゼンテーション
<CONFERENCE>日程:12月1日13:30~14:00/会場:MAIN Hikarie Hall A
登壇者:Benji Rogers(dotBlockchain Media CEO)


楽曲に関する権利情報をブロックチェーン技術によってデータベース化するテクノロジーを開発しているdotBlockchain Media。ストリーミング・サービスの普及で権利者への売上分配手続きが複雑化するなか、楽曲自体に権利データを埋め込む技術が実現すれば、誰もが公正に報酬を受け取ることができるようになると提言。自身の権利を管理できるオープンな世界の構築を目指しているとのことでした。

■企業ブランドとダンスミュージックのインターセクション
<CONFERENCE>日程:12月1日14:00~14:30/会場:MAIN Hikarie Hall A
登壇者:松井浩太郎(株式会社 電通 クリエーティブディレクター)、テイ・トウワ(huginc. CEO)


企業ブランドとダンスミュージックのパートナーシップについて紹介。イベント「FREEDOMMUNE ZERO」におけるレクサスとのコラボレーションでは、車からステージ照明演出などを操作できる企画を展開し、若い世代に向けて新しいブランドイメージを提示したという実例を紹介。非日常的なサウンドと、広告であることを意識させないブランド体験、そして自らの身体で経験することが、価値ある体験を生むとのこと。

■Open Reel Ensemble
<SESSIONS>日程:12月1日17:00~18:00/会場:WORKSHOPS Hikarie Hall B
登壇者:Open Reel Ensemble(ソニー・ミュージックアーティスツ所属アーティスト)


カンファレンスの最後を飾ったのは、オープンリールテープレコーダーを楽器のように使いこなす異色ユニット。その場で録音した声をスクラッチしたり、外に張ったテープを直接叩いて打楽器代わりしたりと、意外な使い方に改造された5台のレコーダーを用いたアンサンブルは圧巻。ラストのセッション曲ではTDME実行委員長のLaurenもスクラッチで参加、カオスなグルーブが渦巻く中で大団円を迎えました。
担当者コメント
SME コーポレートビジネスマーケティンググループマーケティングオフィス Lauren Rose Kocher / コーカー ローレン ローズさん
SMC マーケティング戦略本部マーケティング戦略オフィス 柳井 功治さん
今年のTDMEの感想
本年は昨年より幅広いテーマにリーチする事で、メディアを含めたより多くの方々にご来場頂き、非常に嬉しく思っております。
去年のTDMEと大きな違いは?
メインステージとは別にテック・ステージを新たに設け、株式会社Spincoaster 代表取締役 林潤さんのサポートの元、ブロックチェーンやミレニアル世代へのマーケティング、8K VR等の話題をテーマとして取り上げ、昨年とは異なるバックグランドの方が多く来場されました。
実現できたことは?
Jeff Millsの最新作のサウンド・インスタレーションやソニー・ミュージックマーケティング、ソニー・ミュージックパブリッシングとオーディションを開催しました。TDMEから新しいアーティスト/プロデューサーが産まれる事にワクワクしております。 また、LIVEの方では日本初となるSpinnin’ Sessions at TDMEを開催し、普段クラブへ来ない若年層ファンが数多く来場し大きな話題となりました。
今後の目標は?
年々重要性が増しているデジタルマーケティングやダンスミュージックが与えるマーケットへの影響等、メジャー・レーベルとして向き合うべきテーマを掲げた国際的なカンファレンスの開催は日本の音楽マーケットの成長に不可欠だと考えております。今年実現出来た事もたくさんありましたが、同時に問題点や改善点も数多くあると考えており、来年以降も継続していくためには新しいパートナーも巻き込み、大きな枠組みで開催していく必要性があると感じております。 TDMEを更に世の中へ浸透させていくべく、皆様のお力添えを頂ければ幸いです。





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